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宇宙論の展望

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Academic year: 2022

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宇宙論の展望

小松英一郎 (The University of Texas at Austin) 理論懇, 2008年12月15日

1

(2)

テキサス大学オースティン Center for Cosmology

来年一月より始動!

Research Unit, Center for Cosmology

Astronomy Physics

Volker Bromm Karl Gebhardt

Gary Hill

Eiichiro Komatsu Milos Milosavljevic

Paul Shapiro

Duane Dicus Jacques Distler

Willy Fischler

Vadim Kaplunovsky Sonia Paban

Steven Weinberg (Director)

2

(3)

宇宙論:科学的現状 (1)

宇宙マイクロ波背景輻射、

宇宙の大規模構造、および Ia型超新星の観測により、

現在の宇宙の組成が明らか となった。

水素・ヘリウム 暗黒物質

暗黒エネルギー 3

(4)

宇宙論:科学的現状 (1)

宇宙論は『量』を問う時代 から『質』を問う時代へと 転換を果たした。

暗黒物質とは何か?

暗黒エネルギーとは何か?

4

水素・ヘリウム 暗黒物質

暗黒エネルギー

(5)

宇宙論:科学的現状 (2)

宇宙が加熱されたビッグバン以降の宇宙の進化 は、ほぼ解明されたと言って良い。

より正確に言えば、核融合でヘリウム原子核が形 成された時期(~1MeV: 温度にして約100億度)

以降の宇宙の振る舞いは、ほぼ解明されている。

現在の宇宙論の興味は、それよりずっと前、より 温度が高かった原始宇宙時代に移行している。 5

(6)

宇宙論:科学的現状 (2)

原始宇宙の進化に関する研究で、重要課題に挙げら れるものは二つ。

ビッグバンの起源は何か?(インフレーション)

バリオン物質の起源は何か?(バリオジェネシス)

6

(7)

10〜20年間に

解決すべき宇宙論問題

暗黒物質とは何か?

暗黒エネルギーとは何か?

ビッグバンの起源は何か?

バリオン物質の起源は何か?

7

(8)

10〜20年間に

解決すべき宇宙論問題

暗黒物質とは何か?

暗黒エネルギーとは何か?

ビッグバンの起源は何か?

バリオン物質の起源は何か?

8

(9)

暗黒物質の正体

大型ハドロン加速器(LHC)は、暗黒物質の生成に成 功する可能性がある(超対称粒子、KK粒子)

米国の次世代ガンマ線衛星FERMIにより、暗黒物 質起源のガンマ線が検出される可能性がある。

反跳を用いた暗黒物質の直接検出実験の感度の向 上により、直接検出も夢ではなくなった。

9

(10)

暗黒物質:理論的課題

暗黒物質の検出に向け、理論に求められる事は?

素粒子物理的見地では、あるモデルに即した散乱断 面積、対消滅断面積、質量等の計算が問題になる

天体物理学的見地では、暗黒物質の宇宙における分 布、つまりハローの構造、サブストラクチャー、

コースティクスの分布といった、基本的であるが良 く理解されていない問題が重要になる

それらを効率良く観測する手法の提唱も大事 10

(11)

11

(12)

Diemand, Khlen & Madau, ApJ, 657, 262 (2007)

•Diemand et al.によるN体計算で得られたハローの中心を、8kpc の距離から見た時の、暗黒物質起源ガンマ線の分布

Milky Way からのシグナル

12

(13)

13

(14)

Milky Way だけではない!

暗黒物質は、宇宙のいたるところで ガンマ線を発しているはず。

どうしてMilky Wayに固執せねばならないの か?ハローはいたるところにある!

個々のハローを分解する事はできな いが、銀河系外からのシグナルは

「ガンマ線背景輻射」として見える はずである。

「もう既に見えている」と言ってい る人もいるが、暗黒物質起源である

事を、どうやって証明すれば良い? 14

(15)

ガンマ線背景輻射の揺らぎ

ハローは、大規模構造をトレースしている

よって、暗黒物質起源のガンマ線は、絶対に揺らぎを持っ ており、そのパワースペクトルの形は大規模構造のそれと 似ているはずである。

我々の計算によれば、もし暗黒物質起源のガンマ線が全

体の30%以上を占めているならば、ガンマ線背景輻射の 揺らぎはFERMIで検出可能である。

Ando & EK (2006); Ando, EK, Narumoto & Totani (2007)

15

(16)

FERMI = ガンマ線の “WMAP” ?

WMAP 94GHz

16

(17)

バリオンの起源:理論的課題

バリオジェネシスの解明に向け、理論に求めら れる事は?

理論的には、完全に行き詰まっている!

なぜ?実験データがなさすぎるため。

最も有望視されている福来ー柳田理論(レプト ジェネシス)の発展を押し進めるには、ニュー トリノセクターの理解が必須。しかし、実験的

に決定的に欠けているものがある。 17

(18)

バリオン物質の起源

直接的に実験で検証するのは困難なため、間接的 データが必要。以下の二つは特に重要。

ニュートリノ質量の絶対値の測定。

CP対称性の破れのパラメータ(小林-益川位相な ど)の精密測定。

18

(19)

ニュートリノ質量

向こう10年、トリチウムβ崩壊では、電子型

ニュートリノの質量を~0.2eVの精度で測定するのが 精一杯(KATRIN実験)

銀河のパワースペクトルを用いれば、ニュートリノ 振動で得られている下限値~0.05eVに迫る事が可能

(Takada, Komatsu & Futamase 2006)

どうやってニュートリノによる効果とそれ以外の 効果を分ける?この分野の理論的仕事は始まった ばかり(e.g., Saito et al. 2008) 19

(20)

ニュートリノの質量密度と 全質量密度の比, Ωνm, に比 例して、銀河パワースペクト ルが小さくなる。

この効果が効くスケール

は、ニュートリノの速度分散 と共形時間の積で決まる。

銀河サーベイで十分に測定

可能、0.05eVも十分達成可能

Takada, EK & Futamase (2006)

20

(21)

WMAP+ 距離測定より

WMAPのデータのみでは

∑mν<1.3eV (95%CL)

WMAPのデータに近傍の距

離測定(BAO, SN1a)を足すと

∑mν<0.67eV (95%CL)

銀河パワースペクトルの減衰 の効果は使っていない

(データも理論も不十分)

21

Komatsu et al. (2008)

WMAP5 Only

WMAP5+BAO+SN1a

(22)

揺らぎの大きさの重要性

22

Komatsu et al. (2008)

WMAP5 Only

WMAP5+BAO+SN1a

銀河パワースペクトルの減衰 の効果の重要性は、次のよう にも言い換えられる:

ニュートリノ質量は現在の物 質揺らぎの大きさσ8を小さく する。従って、σ8の下限値が わかれば、ニュートリノ質量 への制限が強くなる。

(23)

10〜20年間に

解決すべき宇宙論問題

暗黒物質とは何か?

暗黒エネルギーとは何か?

ビッグバンの起源は何か?

バリオン物質の起源は何か?

23

(24)

暗黒エネルギーの正体

宇宙の加速膨張の源である暗黒エネルギーは、物 質でなければ粒子でもない。その名前とは裏腹

に、エネルギーですらないかもしれない!

その効果は、過去および現在の宇宙の膨張速度の 進化を通して測定するのが最も効果的。

膨張速度の進化は、たくさんの超新星や銀河まで

の距離測定を通して行うのが最も効率が良い。 24

(25)

暗黒エネルギー:観測的現状

w0=–1.00±0.19 & w’=0.11±0.70 (68%CL)

wが一定とすると、w=–0.99±0.06 (68%CL)

Komatsu et al. (2008)

25

w(z)=PDE(z)DE(z)

=w0+w’ z/(1+z)

(26)

暗黒エネルギー:理論的課題

「暗黒エネルギーが何か」という問題への理論的 研究は、完全に行き詰まっている。しかし!

最も重要な課題は「なぜ真空のエネルギーが小さ いのか」あるいは「なぜ真空のエネルギーが宇宙 膨張に影響しないのか」という問題。

この問題から目を背けてはいけない。

26

(27)

暗黒エネルギー:理論的課題

もう一つの理論的課題は、「いかにして暗黒エネルギーの 正体を観測的につきとめる手法を編み出すか」(i.e., JDEM をやるにあたって、最適なデザインは何か)

超新星?Rest-frame近赤外の観測はどのくらい有効か?

銀河サーベイ?非線形性は理解できているか?

銀河団?Self-calibrationなんて本当に信じていいのか?

重力レンズ?楽観視しすぎてないか? 27

(28)

ビッグバンの起源:

理論的課題

まあ、要するにインフレーションの事です

流行は「ストリング理論からのインフレーション」、

あるいは「原始重力波の大きいモデル」「非ガウス揺 らぎの大きいモデル」を探す事

どんな観測をすれば、我々の宇宙を記述するインフ レーションを特定できるのか?

28

(29)

ビッグバンの起源:理論的課題

非ガウス性を用い、インフラトンの相互作用を直 接探る可能性:3点関数はほぼ終了。次は4点。

原始重力波を使い、ビッグバン以前、およびビッ グバンそのものの振る舞いが直接見える可能性:

理論的に残された事ってあるか?あとは観測待ち なのでは?

29

(30)

原始重力波:現状

重力波のパワーを密度揺らぎのパワー で割ったものをrとすると、

r<0.22 (95% CL)

Planckはこれより4倍ほど良い制限を

与える。

Komatsu et al. (2008)

30

(31)

原始重力波と WMAP

もしnsを固定すれば、

Low-lEEBBのみからr<20 (95% CL); + high-l TEを足す r<2 (95% CL); + low-l TTを足すとr<0.2 (95% CL)

従って、WMAPの制限は主にTTデータに依っている。 31

Komatsu et al. (2008)

(32)

これらの課題に最大公約数で 寄与できる単一観測手法

スペースからの銀河サーベイ@z=1–6

非ガウス揺らぎへの感度はPlanckより良い

原始パワースペクトルの精度もnss~10-3までいく

ニュートリノ質量も0.05eVまでいく

暗黒エネルギーへの感度も抜群(DA(z), H(z), G(z)の測定を通じて)

唯一できないのが原始重力波:でも、羽澄さんがやってくれるから

32

(33)

スペースからの

銀河サーベイと天文学

スペースからの銀河サーベイ@z=1–6

天文コミュニティにとっても重要なデータを提供する

星形成率の精密測定@z=1–6、など

スペクトル観測のみにするか?イメージングも入れるか?

イメージングを入れた方が天文コミュニティは嬉しいが、

コストがかさむ問題 33

(34)

欧米の流れ

暗黒エネルギーの正体、およびビッグバンの起源 の解明に特化して、欧米の観測計画の流れを概観 してみる。

アメリカ合衆国:Beyond Einstein Missions

ヨーロッパ連合:Cosmic Vision

34

(35)

Beyond Einstein Missions

2017年打ち上げを目指した、衛星観測計画。

Joint Dark Energy Mission (JDEM): 暗黒エネ ルギーの解明

Inflation Probe: ビッグバンの起源の解明

両者ともに千億円規模

35

(36)

Beyond Einstein Missions

2017年打ち上げを目指した、衛星観測計画。

Joint Dark Energy Mission (JDEM): 暗黒エネ ルギーの解明(採択済)

Inflation Probe: ビッグバンの起源の解明

JDEMは混迷の一途を辿っている。予算(800億 円)では到底無理そう。

36

(37)

Cosmic Vision

2015 - 2025年に実現すべき衛星観測計画。

DUNE, SPACE: 暗黒エネルギーの解明

B-Pol: ビッグバンの起源の解明

37

(38)

Cosmic Vision

2015 - 2025年に実現すべき衛星観測計画。

DUNE+SPACE=EUCLID: 暗黒エネルギー(採択済)

B-Pol: ビッグバンの起源の解明

ただし、特筆すべきは来年打ち上げ予定の宇宙マイクロ 波背景輻射観測衛星Planck

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なんとなく

なんか、ごちゃごちゃやってるけども

結局、(LISAみたいに)JDEM+EUCLID = 欧米の ジョイント計画となって、(LISAみたいに)いつ までたっても打ち上がらない、という結果になる 可能性は、低くないと思う

39

(40)

日本主導の衛星計画?

暗黒エネルギー探査:スペース銀河サーベイ

ビッグバンの起源探査:LiteBIRD(羽澄さん)

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(41)

まとめ

宇宙論の重要課題は(任意の順番で)

暗黒物質, 暗黒エネルギー, インフレーション,

バリオジェネシス

基本的理論研究も重要だが、「どうやったら観 測的に実証できるか」「新しい観測手法は何

か」という視点はますます重要になってくる

ブレイクスルーをもたらす観測手法を考えるの

も、理論の重要な役割 41

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