NII-Electronic Library Service
研究 技術 計 画 Voi
,
17,
No,
112,
2002【 論 文 】
大 型 工 業技術研 究 開発制度 に 見 る プ ロ ジ ェ ク ト
・フ ォ
ーメ
ーシ ョ ン の
ル
ーテ ィ ン
勝 本 雅 和
*平 成13年6月 受付 平 成 15年8月 受理
不確 実 性が高く
,
全て の選 択 肢を把 握 する こ とができない制 約 合 理 性の 下では,
意 思決 定 主 体は 「ルー
テ ィン(
Routine
)」と呼ば れる比 較 的 簡単 なルー
ルあるい は手順 に従っ て 意 思決 定を行 う。 また ル
ー
テ ィ ンは,
その意 思決 定主体に課さ れ た評価 基 準に対して適 応 的 に 変 化 して行 く。
制度 (lnstitution)がい かに運 営され たか を把 握する には,
形 式上の分 析だ けで はな く, この ルー
テ ィンを分 析 する ことが必 要と なる。
1966 年に創設 さ れ た大型工業 技 術 研 究開発 制度 (大プロ)は
,1993
年に産 業科 学 技 術 研 究 開 発 制 度に統合 さ れるまで の27 年 間に33 本の プロ ジェ ク トを 立 ち 上 げてい る。 これ ら の大型の研 究 開 発 プロ ジェ ク トは不 確 実性が高 く,
その編 成に は一
定の ルー
ティ ンが 形 成さ れ たもの と考 え られる。本 稿で は
,
こ の大 プロの プロジェ ク ト・
フ ォー
メー
シ ョ ンにつ い て,
どの よ う なルー
ティ ン が形 成され, そ れ が適 応的 に 変 化 し た かにつ い て分析を行っ た。 その結果
,
大プロ が実 施さ れてい た当 時,
実 質 的な 評価シス テ ムが 大 蔵省によ るf
算査定しか存 在しなかった た め, それに適 応する形での みル
ー
ティ ンは変化し てい る こ と が明ら か とな り,
研 究 開 発 施 策に対 する評 価 制 度の重要性が 浮 き彫 り と なっ た。1 .
イ ン トロダ
ク ショ ン1. 1
ルー
テ ィ ン進 化経 済学 (Evolutionary Economics )の有 力な分 析ッ
ー
ル の一
つ とし て 「ルー
テ ィ ン (Routine)」 概念1)が あ る [
7
]。 不 確 実性が高 く,
全て の選 択 肢を 把 握 すること が できない 限 定 合 理 性の下では,
意 思 決定主体は比較 的 簡 単なルー
ルあるい は手順に従って意思決 定を行 う。こ の ような ル
ー
ルあるい は手順の こ とをル
ー
テ ィンと呼ぶ。
こ の ルー
テ ィンは,
意*
Masakazu
KATSUMOTO
東 京工業 大学大学 院社 会 理工学研 究 科 助手
〒152
−
8552 東京 都目黒区大 岡山2−
12−
1思決 定者に よっ て自律的に,あるい は置か れ た環 境
との 相 互 作 用 を 通 じて形 成 さ れるもの で
,
法 令やマニ ュ ア ルなど の ように 明 示 的 な 場 合 もあ る が,明文 化 さ れてい ない 種の行動原則とし て表れ る場 合も 多い 。 ル
ー
ティンは,
制 度(
lnstitution)
の 中で意思 決 定者が実 際にはい かに行 動し てい る の かを示してい る もの であ り, その分 析は制 度 を評 価 する にあ たっ て 非 常に重 要で ある。 しか し な が ら
,
ルー
ティンを外 部か ら直接的に把握 するこ とは難しく
,
関係 者へ の イン タ ビュー
を実 施して確 認する以外に は意思 決 定の 結 果か ら推 測 する外は ない 。
ル
ー
ティ ンは限 定 合 理 性の下に形 成さ れ る もの で1) ル
ー
テ i ン概念の定 義は現時 点で は抽 象 的なもの にIHまっ てい る。機械 的な決ま り切っ た単純な予順 と捉 え ること も 多いが
,
こ こ で はプロジェ ク ト・
フt一
メー
シ ョ ン という 非 常に複 雑かつ 非 定 型 的な意思 決定過 程を対象と し てい る。65
一
N工 工
一
Electronlc LlbraryNII-Electronic Library Service あ るこ とか ら
,一
旦確 立さ れる と比 較 的長 期にわたっ て維持 さ れるこ とになる
。
もちろ ん,
それぞれの ル
ー
ティ ンは,
制 度の枠 内で何ら かの評 価基準に 基づ き,
環境へ の適応度が評 価さ れ,
適 応 度の劣ったル
ー
テ ィ ンは淘 汰され, よ り適 応 度の 高い ル
ー
テ ィ ンが採用 され る形で進 化し てい く。しか しな が ら不 確 実 性が高い 環 境にあっ ては
,
結 果が単な る 不 確 実 性の 顕現 なの か,
ルー
テ ィ ン自体の適 応 度の 問題 なのか を峻別する こと は困難であ り
,
こ のた め確 立 さ れたルー
テ ィ ンは固定 化しやすい
。
従っ て
,
ルー
テ ィン の適応度 を 誰 がどの ように評価 する か が大 きな ポ イン ト に な る。企業の場 合に は 利 益を評 価基準とす ること に よっ て
,
企 業の興 亡とル
ー
テ ィン の優 劣 を 合致させ ること が,
あ くまで も 相 対 的に で はある が, 容 易である。一
方,
政府におい ては
,
利益のよ う な 明確かつ 統一
的 な 評 価基準 を 設け るこ と は 困 難であ り,
その政策「1
的等に合わせて,
一
定の 制 度 的・
組織的 (lnstitutional
)枠 組みの 中で評 価さ れ る こ とになる。
従っ てルー
テ ィン の 変更 は 民 間 企業に おい て よ りも
,
政 府におい て困 難で ある。 い わ ゆる 「お役 所 」の前 例 踏 襲主義はルー
テ ィ ンが 固定 化 してい る こ とを意 味して い る
。 1 . 2
日本の政 府 機 関の制 度 的・
組 織 的 (lnstitu
tional
) 特 徴目本の政府 機 関にお ける制 度 的
・
組 織 的 特徴を研究 開 発施 策との 関係で取 り上げる とする と
,
第一
は
,
そのキャ リ ア・
シス テム にあ る。
年 功 序 列, 疑 似 終身雇用ユ乏 い う点は,日 本の標準的な雇 用シ ステ ムとほ ぼ類 似し てい るが
,
1 年ない し2
年の 短い サ イクル でポス トを異 動 してい く点は政 府 機 関の大き な特 徴である。この システム は例 外な く適 応さ れ
るた め
,
長 期にわ たるプロジ ェ クトの 責 任 者であっても次々 と交 代してい くことになる。
第二 は
,
非 常に強い分 掌 体 制で ある。
い わ ゆ る縦 割りの問 題で,
本稿で取りL
げ る 大 型 ⊥ 業 技 術 研 究 開発 制度 (大プロ)で は,
そ の目的に産 学 官 連 携を 謳 っ て はい る もの の,国立大 学が直 接委託を受 けた 例は最 初の プ ロ ジェ ク トである「超 高 性 能 電 子 計 算 機 」の みで ある また,
同 じ省内におい て も権限の分 掌は明 確で
,
こ こ で取 り上 げ た 大 プロ の 場 合,
研 究 開発プロ ジェ ク トの企画
,
予 算 要 求,
執 行は原 則 的に別の組 織で実 施される。第三 は
,
その予算制 度にあ る。
単 年 度 主義や 厳 格 な 手 続 き など,その妥当 性,合 理性の問 題は置 くとし て も, 企業の 会計シス テム とは大 き く異 なるた め
,
委託 研 究 等の 場 合に企 業 側でその処 理に関する 特 別の ノウハ ウを必 要 とする.第四 は
,
政策 評 価が. .
卜分に行わ れて来 な かっ たこ とであ る
。
近 年,
研 究 評 価の 必 要性が強 く主 張さ れ,
評 価体制も徐々 に整 備さ れつ つ ある が,
大プロが実 施さ れ てい た時期に は必 ずし も ト分な評価は行 わ れてい な かっ た
。
形式的に は有識者か ら な る審議 会に よっ て評 価さ れ る ことになっ てはい た が,
委員の選 定を含めた 運営を実 施主体た る担 当 部 局が中 心 と なっ て行っ て い る こともあっ て
,
客観 的な評 価が 保証さ れ る状 態には な く,
ま た そこ で徇.
られ た 運 営上の知 見が 次のプロ ジェ ク ト
・
フ ォー
メー
ショ ンへと活か され る体制 と は なっ てい な か っ た。独立機関 である会 計 検 査 院の 評 価は
,
運営の適 切 性 が 中 心 で,
政策の効 率性までは 評 価 してい る が,政 策 その もの の妥 当性にまで踏み込むことは ほ とんど ない 。国 会におい て
,
特 定の政策が取りh
げ ら れ,
その 妥 当 性 が 議 論 さ れ るこ ともあるが,
多くの場合,
何ら かの形で世 間の耳 目 を集め た施 策を対 象とし,
しかも散発 的で継 続的 包 括 的 な もの で はない
。
従っ て,
唯
・
と言っ て よい 実質的 な評価は,
大 蔵 省 (現 財 務省 )によ る予算の査 定とい うこ とになる 特 筆 すべ きこ と は,
特 別会計につ い て は歳 入 が 特 定の税 等に限 定 さ れ,
またその使 途 も特 定目的に限定されてい る た め,その配分につ い て は大蔵省の査 定は 比 較 的甘い傾 向にあるこ とで ある。
1
. 3
本 稿の 目的本 稿では
,
日本の政 府研 究 開発プロ ジェ ク トにお ける自律 的 あるい は外 部 環 境 との 相彑作 用に より形 成 さ れ たルー
ティ ンにつ い て,
大 型 工 業 技 術 研 究 開 発 制 度 (大プロ )のプロ ジェ ク ト・
フ ォー
メー
シ ョンを例 と して, 分 析 する こ と を目 的とする
。
また,一
旦 形 成 さ れ たルー
テ ィ ンはあ る程 度 固定的では あ
る が
,
外部 環境の変化に対し て適 応 的に変 化する と考えら れ る。従っ て
,
外 部 環境の変 化に対 して ルー
2) 比 較 的 早 期に所 属 機関 を退 職 する とし て も
,
そ の後の就職 先を何ら かの形で保 証 して い るL,
3) 産 官 学 共 同の必 要 件が 世 間
.
般 に 広 く流布し始め た90年 代に 入っ て か ら は大 学へ の再 委 託 が行われ る 例は散見 さ れ る。4冫 実 質的な プロ ジJ
.
ク トの評 価は,
予 算 を確 保 す るこ とによっ て決定される。
(1971年5月14 冂衆 議 院 商工委 員 会質 問 に対する答弁 )66
_
N工 工
一
Electronlc LlbraryNII-Electronic Library Service
研 究 技 術 計 画 Vol
,
17,
No,
li2,
2002テ ィンが 日本の政府 機 構の制約の中でいか に適 応的 に 変化した かを分析 する。
大プロ を例 とし たの は,政府が民 間企業に
委
託 して実施した 研 究 開 発 プロ ジェ ク トとしては最 初の も の であるこ と,またその後に数 多 く実 施さ れた通 商 産業省 (現 経 済 産 業 省
)
の研 究 開発プロ ジェ クトの雛形となっ たもの である こ とによる。ま た
,1993
年 度以降,
産 業 科学 技術 研 究 開発 制度へ と統 合されて以後は分 析対象として い ない
。
こ れ は 1990 年代 は日本の科 学技 術 政 策の転換 期にあたっ てお り,
研 究 開発 プロ ジェ クトを 巡 る環境が 劇 的に変 化し,
また短 期 間に複 数 回の制 度 変 更が行わ れ た た め,対象 と してい る制 度の継 続 性が失わ れてい る た めであ る
。
またル
ー
ティ ンとプロ ジェ ク トの実 質 的成果 との関係は直接的に は分 析対 象とは しない
。
なぜな ら,
後述 す る よ う に 大 プロ の 各プロジェ ク トの 目 的は多
元 的であ り,例えば特許数の ような定 型 的な 尺度だ けでは プロ ジェ ク トの成 果 を適 切に評 価 したこ とに はな ら ないか らである
。
2 . 大
型工業 技 術研 究 開発制 度 (
大プ
ロ)
の概要
2 . 1
制 度の 目的大型工業 技術研 究 開発 制度 (大プ ロ)は,通 商 産 業 省が 1966 年に創設した制度で
,
「国 民経 済上重 要 かつ 緊急に必要な 先導的 大 型 工業技 術であっ て,
その研究開発に
多
額の資金と 長 期 間 を 要 し,
かつ多
大の負担を伴 うた め に, 民 間の 自主的な研 究 開 発に よっ ては 遂行しえ ない もの につ い て
,
国が所用資金 を負担 し, 国 立 試 験 研 究 機 関, 産 業 界, 学 界等と の 密 接な協 力のも とに,
計 画的かつ 効 率的に研究開発 を実施 す る匚 9]」
もの である。
この 国 民経 済上重 要 な領 域と は, 「産業 構 造の高 度化,
国際 競 争力の強 化,天然 資源の合理的な開発又 は 産業公害の 防止 を 図るため に極め て重要 なこ と[9]」と非 常に幅広 く 捉 えら れ てい る。 また開発する技 術は,
「先 導 的 又は波 及的 性 格を有 する技 術で あっ て,そ の研究開 発 を行 うこ とが 鉱 工 業の技 術の向 上に著 し く寄 与 する もの [9]」と され て お り
,
技 術 水 準の向上に資す る と考え られ る人 材 育 成は当 然の ことな が ら,
通常は 研 究 開発の副 産 物 と捉 え ら れてい る技 術の ス ピルオ
ー
バー
を も 主 た る目的の中に位 置づけてい る。
この ように法律上の大プロ の 目標が 概 念 的 かつ広 範囲にわ たる もの で ある ため に
,
どの ような領 域に 資する技 術を選定する か,
またその研究開発の結果 と して の 技術 水 準の 向 ヒをどの よう な 点 に求め るか, とい っ た点で自由度が高 く
,
実 際に選 定さ れ た プロ ジェ ク トを見る と極めて多元 性に富んでい る。このような
多
元 的 な 目標 を持つ 大 プロ の特 徴 を考
えれば,プロ ジェ ク トの適切な 運営と有益 な成 果 を挙 げるた めには プロ ジェ ク ト
・
フ ォー
メー
シ ョ ンの段 階 が非 常に重 要 と な るこ とは明 ら かであ る。
2 . 2
大プロ の 変 遷大 プロ は
,1964
年に 創 設 さ れ た 鉱 工 業 技 術 試 験 研究 委託費 を 1966 年に拡 充 する形で創設 さ れた。当 時
,
輸入自由化,
資本 自由化が目前に迫る中で自 主 技 術 を柱 とした日本の産 業 基 盤の確 立 が 求めら れ てい たが,
重要 な 研 究 開 発 が大型化してお り,
当 時の民 間 企業だ けで はそれ を負 担 するこ とが困難と なっ てい た
。
ま た 当 時の 研 究 開 発 支 援 政 策の 中 心 は,
鉱工業技 術 試験研 究 費 補 助金であっ たが,
補 助 金では研 究 開発 費を100
% カバー
する ことができ なかっ た
。
そこで,
米 国 等での 軍 事,
宇 宙 開発の よう な委託 研 究 制度を創 設 するこ と としたの である。大 プロは1966
年 度の制 度 創 設 時か ら 産業 技 術政策の 柱 とする こ とが 意 図 され てお り,制 度 発 足3 年目の tg68 年度には,
付 属試 験 研 究 機 関の人件 費 等を も 含 め た工 業 技 術 院 予算の4
分の1
を 占 め るに至っ てい る
。
1973 年度 にはその比率が30% に 達 してお り,こ の 間, 明ら か に産業政策
,
特に産業 技術政策の 中 心 的役 割を担っ た。
オ イル シ ョ ッ クを背景と して
1974
年 度に新エ ネルギ
ー
研 究 開 発 を 目 的 と し た研 究 開発 制 度であ る サンシャ イン計 画が創設 され, 更に
1978
年 度に は省エ ネルギ
ー
研 究 開発を 目的と したムー
ンライ ト計画が創設 さ れ た
。
い ず れ も 大 プロ を 雛 形 とした プ ロ ジェ ク ト方 式の 研 究 開 発 制 度で ある。 通 産省は, 1978
年度に石 油 税Sb を, 更に 1980年 度に は電 源 開 発 促 進 税fi1を創 設 して, 一
般 会 計 予算が財 政 収 支の 悪 化に より厳しい 状 況にある中で,
特別 会 計 予 算 を 充 実 させ てい っ た。オ イル ショ ッ ク後の エ ネルギー
価 格 高 騰の 中で
,
これ らの潤 沢な資金は,
サ ン シャイン計画お よ びム
ー
ンライ ト計 画に投 入 され,
大プ 5) 石 炭 およ び石油対 策特 別 会計に充 当。
6} 電 源 開 発 特 別 会 計に充 当。
67
一
N工 工
一
Electronlc LlbraryNII-Electronic Library Service
ロは 相 対 的にその比 重 を 低下さ せ
,1980
年度 には プロジェ ク ト型研究開発の 3分の 1を占め る に過 ぎ な くなっ た。
ま た 198]年 度に は,
次 世 代 産 業 基 盤 技術 研究開発制度が,
よ り基 礎 研 究 寄 りの研 究 開 発 を行 うた め に創設 され,ます ます大プロの産業 技術 政策にお け る位 置づ け は 相 対 的に低下 した。
1980 年代後半に な ると,
大 プロ を含め た 研 究 開発コ ンソ
ー
シ ア ム の効 果が低F
し てい るとの批 判が 行われる ようになっ て きた。 例 えば,
1989 年に経 団連が実 施したアンケー
ト調査 [14]に よ れば,
政 府がテー
マ を決定 する研 究 開発コン ソー
シ アム よりも
,
企業 自身の判 断に よ る研 究 開発 を支援 する税制 な どの 施 策を高 く評 価 する ようになっ てい る。Callon
(1995
)は,
外 部 環 境の変 化が,
即ち1
)個々の日本企業の体 力が 向 上 して研 究 開 発コ ンソ
ー
シ アム に参加 するメ リッ トが低 下 し た こ と, 2)日本の 技術 力の向上 か ら目標 設定が容 易な キャ ッチアッ プ 型 か ら 目標 設定が 困 難 なフ ロ ン トランナ
ー
型 に 研 究開 発が変 化し た こ と
,3
)対 外 貿 易 黒 字の増 加に よ る貿易 摩 擦の激 化 が 日本 に特 徴 的 な 政 府 に よ る研 究 開 発コ ン ソー
シ ア ム に対する対外 的な批 判が強まった ことが,政 府の研 究 開発 投 資の基礎 研 究へ の シフ トと通 産 省の研 究 開 発 予算を 相 対 的に低下させ
,
最 終的 に研 究 開 発コ ンソー
シ ア ム方式の有 効性を減殺した と主 張してい る [
1
]。以 上の ように大 プロ は1973年 度 を ピ
ー
ク と して,
その位 置づけを相 対 的に低下さ せ続 けて お り
,
さ らに
1980
年代に入ると その低ド速度は増 加してい る。結 局, 1993年に次 世 代 産 業 基 盤 技 術 研 究 開 発 制 度
と統 合さ れて産業 科 学 技 術研 究 開発 制 度と なっ た が, それ まで に 33の研 究 開 発 プロ ジェ ク トを 実 施
し てい る7; (図
1
)e3 .
大プ
ロのプ
ロジェ ク ト・
フォー
メー
ション にお けるル
ー
テ ィン大 プロ の プロ ジェ ク ト
・
フ ォー
メー
ショ ン のプロセ スは
,
相互作 用 的とい う意 味で非 常に複 雑である。プロ セ ス を 大 ま かに分 ける と
,
テー
マ の選 定 を行い,
プロ ジェ ク トの規 模を決 定して予算 化し
,
参 加企業を公 募,
選 定し て (後には技 術 研 究 組 合 等を設立 させて)委託契 約を締 結する,
とい う 段 階を踏む。これ ら は形 式 的には順を追っ て進むことにな る が
,
現実 的には,
テー
マ の選定と予 算規模,あ るい は テ
ー
マ選 定 と参
加 企 業の 間 な ど,そ れ ぞ れの段 階の 問に は相互 に密接な関係があり,
プロジェ クト
・
フ ォー
メー
シ ョ ン に影響 を 及 ぼ す。
ま た 通 産 省,国 立 試 験 研 究 機 関,関 係業界の間 にはプロジェ ク トの内容を 巡っ て意見の違い が ある
E ,
参加 企業の 間 にも思惑の相 違がある。
更にプロ ジェ ク ト・
フ ォー
メー
シ ョンの極 初 期の段階で は各 産 業を 所 管 する担 当課がテー
マ の候 補を挙 げ,
ある程 度 具 体 化 した後に 工業 技 術 院に移 管さ れて予算要 求 さ れ,予算 獲得 後に専 任の研究開発 官が基 本 計画の策 定,
参加企業の選 定 等を行 う。こ のようにプロ ジェクト
・
フ ォー
メー
シ ョン の 各段 階で担 当 者 が 交 代 す る こ と も,
こ のプロ セ スを一
層 複 雑 化さ せ てい る。
この ように実 際のプロ ジェ ク ト
・
フォー
メー
シ ョン
・
プロセス で は,異な る目 標を持つ 多くの 参加 主(
圧
k
掴
)
12000010000080000600004000020000
0
説 縛 ず ♂ ♂ 諍 譚 譚 縛
國 工業技術院予算 (プロジェ ク ト以外 )
圏 その他 研 究 開 発プロジェ ク ト 囗 ム
ー
ンラ イ ト計画團 サンシャ イ ン計画
□ 次 世 代
圈大 プロ
図
1,
工 業 技 術 院 研 究開 発プロ ジェ ク ト関 連 予 算の推 移 (通商産業 省年 報お よ び工業 技術 院年 報 各年版 よ り作 成)7) こ の う ち 「MHD 発 電」と 「廃熱 利 用 技 術 」の二つ のプロジェ ク トにつ い ては
,
当 初,
大 プロ と し て開 始 され たが,
1978年度のムー
ンラ イ ト計 画の 発 足に伴い,
そ ち らに移管さ れ た。68
N工 工